芸能プロダクションの比較経営分析
− 吉本興業 vs ジャニーズ −

2006年1月13日

古屋ゼミ3年 (2004年4月入室生)

安藤麻美 伊藤智代 伊藤初
 久保山瞬 小峰美紗子 酒井弘光
 櫻井大輔 重信徹(※) 高見和也
堀中麻希 矢島大輔 山田美紀 山本知佳(※)
(あいうえお順, ※は執行部)

ゼミトップページへ


目次

  1. ゼミ活動概要
  2. 本プロジェクトのねらい −なぜ吉本とジャニーズに注目するのか−
  3. 概要・沿革
  4. 企業経営
  5. メディア戦略
  6. 雇用関係・人材育成
  7. 「お笑い」・「バラエティー」ブーム
  8. 将来への課題
  9. 参考資料

I. ゼミ活動概要


II. 本プロジェクトのねらい −なぜ吉本(Y)とジャニーズ(J)に注目するのか−


III. 概要・沿革

1. 概要

吉本興業 ジャニーズ
正式名称 吉本興業株式会社 株式会社ジャニーズ事務所
創業 1912年 1962年
設立 1948年 1975年
上場 大証 1949年
東証 1961年
非上場
創業者 吉本泰三(1886-1924)
吉本せい(1889-1950)
喜多川"ジャニー"擴[ひろむ](1931-)
藤島"メリー"泰子(1929?-)
代表取締役(社長) 吉野伊佐男 喜多川"ジャニー"擴
所在地 大阪市中央区難波千日前11-6(他に東京本部, 東海支社, 福岡・札幌・広島事務所あり.) 港区赤坂8-11-20
業務内容 ・お笑いを中心とした, テレビ, ラジオ番組, 舞台, 各種催事, 企業用CM・PV等の企画・制作及び構成.
・タレント, アーティストのエージェント業務.
・不動産業.
・飲食, アミューズメント施設の開発・運営.

多角経営(タレントのマネージメントのみでなく, 劇場等の「ハコ物」, 番組制作施設の運営も行う)
・タレントの育成・エージェント業務.
・音楽会, ショー等催し物の企画・製作・運営.

→マネージメント業務に
集中
(大半のタレントは大手レコード会社と専属契約を結ぶ. 「ハコ物」や番組制作施設などは持たない.)
所属タレント 約700名(漫才420名, 新喜劇60名, コント56名, 落語56名, 音楽53名, 俳優36名, スポーツ15名, その他)
<例>明石家さんま, 島田紳助, ダウンタウン, ナインティナイン, 雨上がり決死, ココリコ, ほしゃん, ロバート, 次長課長, レギュラー, 小室哲哉, 石井一久, Fayray

お笑い中心だが, 他に音楽家・スポーツ選手・作家・画家など多様

(参考) 従業員236名
約200名(メジャー33名+ジャニーズJr)
<例>少年隊, SMAP, TOKIO, V6, Kinki Kids, 嵐, タッキ−&翼, NEWS

男性アイドルに特化

(参考)ジャニーズ出身タレント
郷ひろみ, 薬丸裕英・本木雅弘(シブがき隊), 反町隆史

(参考) 従業員数十名規模
関連施設・企業 ・SWINGよしもと(なんばグランド花月[旧なんば花月],ディスコ・デッセジェニー等所収)
・SWINGうめだ(うめだ花月等所収)
・京都吉本ビル=パッサージオ[旧京都花月]
・YES-NAMBAビル(ワッハ上方, baseよしもと[旧心斎橋2丁目劇場], YES-fm局等所収)
・ルミネtheよしもと(東京)
・吉本栄3丁目劇場(名古屋)
・吉本総合芸能学院=NSC(大阪・東京)
・テーマパーク=小樽よしもと
・(株)ITS(TV番組制作)
・(株)ファンダンゴ(ブロードバンド事業)
・(株)ジャニーズ・エンタテイメント(Kinki Kids等のレコード・CD製作)
・(株)ジャニーズ出版(音楽著作権管理, 出版事業)
・(株)ヤング・コミュニケーション(音楽会, ショー等催物の企画・製作・運営など)

財務情報(単体ベース2005年3月期) ・資本金: 48.1億

・総資産: 478.5億
・売上高: 281.0億
・経常利益: 37.5億
・税引き前純利益: 32.7億




法人申告所得(2004年): 26.6億
興行部門5位
・資本金: 1000万

・総資産・売上・経常利益等: 不明


法人申告所得(2004年): 71.9億
興行部門1位
(参考)
2位=劇団四季: 47.1億
3位=読売巨人軍: 32.1億
4位=UpFrontAgency(モー娘。他): 31.8億

2. 沿革

吉本興業 ジャニーズ
1912 吉本せいが夫の泰三と共に第二文芸館を入手.
1921 関西落語界最大のスター桂春団治と専属契約.
1930 漫才専門館を設立して横山エンタツをスカウト, 花菱アチャコと新コンビ(エンタツ・アチャコ)を組ませる.
1948 株式会社に改組, 翌1949年に大阪証券取引所に上場.
1959 松竹に対抗し, うめだ花月で吉本バラエティー開始. 舞台をテレビで同時中継.
1962 少年野球チーム「ジャニーズ」を結成.(このチームからジャニーズ事務所の起源となるアイドルグループが誕生.)
1967 フォーリーブスデビュー(ミュージカルスター育成のために結成されたグループ).  
1969 バラエティー番組「ヤングoh!oh!」の製作・放送開始. 1982年の放映終了まで, 桂三枝, やす・きよ, さんま等を世に送り, 若年顧客層を重視する吉本ヤング路線を確立. 
1972 郷ひろみデビュー(人気絶頂の中, 他の事務所へ移籍したため, 事務所の危機を迎えた).
1979 花王名人劇場放送開始, 翌1980年の「THE MANZAI」と共に漫才ブームに火をつける. 「3年B組金八先生シリーズ1」に, たのきんトリオが出演.(第一次ジャニーズ黄金期に入る.)
1980 東京へ本格進出.
1982 大阪に吉本総合芸能学院(NSC)を開校, 師匠を持たないノーブランド芸人(ダウンタウン等)を輩出. シブがき隊デビュー. 「100%・・・SOかもね!」でレコード大賞最優秀新人賞獲得.
1987 光GENJIデビュー(ローラースケートで歌い踊る新しいタイプのアイドルとして, 第二次ジャニーズ黄金期を築く).
1988 京都花月を複合商業ビルに改築(不動産開発・賃貸事業の本格化).
1990 報酬制度を月給制から完全歩合制へ変更.
1991 SMAPデビュー(バラエティー界に進出するなどして, 今までのジャニーズとは違ったポジションを確立, ジャニーズ事務所の業界での影響力を高めた)
1996 地域FM局開局. 以後CD・DVD製作会社・飲食店・ブロードバンド事業会社等を設立. 1999年には, 小樽にテーマパークを開場.
1997 ジャニーズエンタテイメント発足(Kinki Kidsのデビューのタイミングで設立されたジャニーズ事務所初のレコード会社),
2001 若手漫才グループを対象としたコンテスト「M-1グランプリ」を立ち上げる.

(担当: 安藤麻美, 山田美紀, 山本知佳)


IV. 企業経営

1. 概観

吉本興業 ジャニーズ
「二番手」としての創意・工夫の中で発展 松竹(古典演芸興行の老舗. 映画・テレビへの進出も吉本より早かった)に対し「面白ければ何でもあり」という大衆娯楽路線で対抗. 1960年代末には, 若年層を重視したバラエティ番組を創始, その後のヤング路線を確立. 松竹に先駆けてTV番組制作事業へも参入し, 後年の財務基盤を形成. 吉本総合芸能学院(NSC), 各種実験劇場(Baseよしもとなど)での若手育成にも松竹に先駆けて着手した. ナベプロ・ホリプロ(1960〜70年代, 歌謡スターの大半を傘下においていた)に対し, 未開拓だった男性アイドルのプロデュースで対抗. 伝統的な歌手・ダンサー間分業を崩し, 「歌って踊れるアイドル」を育成. また, 米国追随の風潮に抗して「和物」(法被など)をステージ演出に積極導入.
経営戦略は対照的 多角化戦略
自社ビルの一部貸し出し(←劇場の集客効果を利用), テーマパークの開発・運営など,不動産事業を積極展開. タレントのマネージメントだけでなく, 劇場等「ハコ物」の運営も行う.
集中戦略
男性アイドルのマネージメント業務に特化. 大半のタレントは大手レコード会社と専属契約を結ぶ. 楽曲配給も大半はビクター(SMAP), ユニバーサル(TOKIO), エイベックス(V6)など大手レコード会社経由で行う. 「ハコ物」や番組制作施設などは基本的に持たない.

2. 多角化戦略の代表例−吉本の劇場・不動産経営

不動産事業の展開

製作部門は成長していたが, 移ろいやすい大衆相手の商売のため浮き沈みがあり, 安定収入の見込める事業の開発が不可欠であった. その対策として, 直営劇場「花月」が入居する自社ビルを利用した不動産事業を展開した. 時代順に主な事業・物件を挙げると下記のようになる.

不動産事業の成果

不動産業は大成功し, バブル崩壊後もコンスタントに年間10億円ほどの利益を出し, 経常利益全体の約35%を占めるに至った. 「SWINGよしもと」は不動産部門のナンバーワンに, 「NGK」は吉本の屋台骨を支える嫁ぎ頭になった. かつて千日前から日本橋まで歩く人などいなかったのだが、「NGK」により, 人の流れが変わった. 日本橋・電気街と千日前の一体感が生まれ, 界わいの活性化が図れたことは, 路線価の上昇や相次ぐ店舗の新築が如実に物語っている. 難波・道頓堀を含むミナミ一帯は大阪の南の玄関口という立地にあり, 近い将来一帯はアミューズメント機能を持った街になると考えられている. 大衆演芸で培ってきたプロデュース力を街の再生に役立てるチャンスがそこにある.

3. 「世間の常識」の逆を行くジャニーズ的プロデュース手法

「和物」の導入

ジャニーズ系アイドルの特色の一つに, 「和物」といわれる様式がある. ジャニーズ系アイドルのステージでよく見かける演出にバックで踊るジャニーズジュニアが法被を着ているシーンがある. 法被を舞台衣装にアレンジするのはジャニーズ系アイドルでは日常的であり, その姿で踊り歌う演出は絶妙なバランスを保って展開される. あるいは、舞台に運んだ和太鼓を効果音に利用したりするのもその一環である. また, 「忍者」, 「嵐」というグループ名は, いかにも「和物」を意識したネーミングである. この面に関してのプロデュースのアイデア創造者は, ジャニー喜多川の姉のメリー藤島である, 業界とは正反対の方向を向いて斬新さを提供するジャニー&メリーの能力(タレント)は、アメリカ育ちの姉弟の独特の感性の相互扶助の結果といえる.

グループ・ソロ活動間の相乗効果の活用

ジャニー喜多川は, グループの人気を不動にするには, 個々のメンバーの知名度が上がるよう単身で活躍する場を広げることが必要である, と判断した. 単身での活躍が注目を集めれば集めるほど, 彼らがグループに戻ってきたときの衝撃度は幾倍にも跳ね上がる. これがメンバーのグループへの帰巣による「回帰現象」である. この効果を最も早く全国区にしたのがSMAPである. 以来KinKi Kids(2人), TOKIO(5人), V6(6人), さらにジャニーズジュニアまでも個人的な活動を開始した. グループメンバーの細分化現象による波及効果によって, ジャニーズ事務所はそれまでの一芸能プロダクションから, ジャニーズ・カンパニーへとビッグに飛躍した.

(担当: 伊藤智代, 小峰美紗子)


V. メディア戦略

1. 概観 −新メディアへ積極展開する吉本, 依然テレビ中心のジャニーズ−

吉本興業 ジャニーズ
・ラジオ放送開始当初, 専属芸人への出演を禁止
→社則を無視してラジオ出演した桂春団治の高座への来客が増えたのを見て舞台公演とメディアの相乗効果を理解
→以後, 芸人売り出しの手段としてメディアを積極利用するようになる.

・戦後, メディアの中枢はラジオからテレビへ移行
→テレビのチャンネル権を握る若者の取り込みを図る(「ヤング路線」).


・近年のDVDの普及→吉本製作TV番組のDVD化も進展→新たな収入源となる.

・2000年, 子会社「ファンダンゴ」を設立, インターネット経由のコンテンツ配信を強化. 2005年, ホームネットワーク(デジタル家電ネットワーク)経由のコンテンツ配信のためインテル社と提携.
・テレビとレコード・CD売上の相乗効果を早くから理解
→所属タレントを時代劇, 学園ドラマなどに送り込む
→近年はNHK大河ドラマ(「武蔵」「新撰組!」「義経」など)への関与が増加.


・新メディア対応は吉本に比して遅れる
←肖像権の徹底管理のため, インターネット経由での所属タレントの写真・映像配信を禁止.

2. 吉本興業

戦前のメディア戦略

戦前の吉本興業は演劇が中心であった. 明治45年(1912年)4月1日に, 吉本吉兵衛(後に泰三と改名)とせいの夫婦が「第二文芸館」の経営に乗り出したのが始まりで, 入場料は当時の他の寄席がふつう15銭だったのに対し, 7銭という破格の安さだった . また, 内容も落語をメインとせずに, 「何でもありの安くておもしろい」曲芸や怪力, 物まねなどの色物を中心に番組を組んでいた. 大正7年には超一流の座亭「金沢亭」を買収し, 「南地花月」と命名. 同時に傘下に納めていた演芸場のブランドも「花月」に統一した.

大正14年(1925年)にはラジオ放送が開始. 当初は専属芸人のラジオ出演を堅く禁じていたが, 1930年12月7日に桂春団治がその禁を破って大阪放送局に初出演. 吉本は禁を破った春団治の寄席出演を堅く禁じたが, その後しばらくして春団治が寄席に復活した途端に客が押しかける様子を見て, 専属芸人を放送番組に出演させる事が結果として自らの営業利益に繋がる事を知る. 1934年5月4日に大阪放送局と吉本は和解を果たし, ラジオ放送による所属芸人の売り込みも開始した.

戦後のメディア戦略

戦後になると演劇・ラジオ放送に加えて、テレビ放送が大きな役割を果たすようになる. 昭和34年3月1日に梅田花月演芸場がオープンした. 当時まだ松竹よりも人気が劣っていた吉本は, 毎日放送でその舞台中継を開始する. 6月には日曜昼の45分番組としてレギュラー化された. また, テレビのチャンネル権は若者にあると見て, ターゲットを若者にしぼり, 「見ているものがアホらしくて笑わなければしかたのないものをつくろう」との方針を立てた. これが吉本新喜劇の誕生である. 演芸場で行った公演をそのままテレビで中継するという形が吉本新喜劇の象徴とも言える. 昭和37年には朝日放送で「てなもんや三度傘」がスタートし, この頃からテレビで吉本のタレント達が活躍し始めた.

昭和42年にはラジオの深夜放送が開始. 若者たちと接点を持つようになった. 以後, 朝日放送のラジオ「ヤングリクエスト」, 毎日テレビの番組「ヤングおー!おー!」などで, 吉本のタレントは若者を中心に人気が出るようになる. そのタレントたちの人気が花月の入りにつながった. 昭和55年にはMANZAIブームが起こり, 大阪中心だった所属タレントが東京に進出, 人気が全国的なものとなった. これによりテレビ部門が驚異的な伸びを示し, 翌年, 部門売り上げのトップに立った. 以後, ダウンタウンやナインティナインといったタレントがテレビ番組に多数登場するようになった.

これからのメディア戦略

ここ数年のDVDの普及により, 以前テレビで放送されたお笑い番組がDVDで発売されるようになってきている. 特に吉本タレントの出演している番組のDVDは売り上げが好調で, ダウンタウンの出演している番組DVDは, お笑いDVDセールスTOP10に6作もチャートインしている. 番組放送当時の視聴率よりも, コアファンの存在が売り上げを左右しているようだ. しかし, DVD化に際して, 昔の番組になればなるほど肖像権などの権利関係をクリアにするのに時間がかかるといった問題点もある.

現在ではテレビ放送だけでなく, インターネットを利用してお笑い関連の番組や映像を配信するサービスを行っている. 「好きなときに, 見たい番組を, 何回でもみられる」というネット配信のメリットを利用して, 関西地区を中心に地上波でテレビ放送した人気お笑い番組や, 劇場でのお笑い興業の映像を中心に配信. 過去の番組なども積極的に配信する予定である. 吉本興業のコンテンツ配信子会社である「ファンダンゴ」は, 2003年からKDDIの携帯電話, 「au」向けに動画配信サービスをスタート. 会員は数万人を確保している. 現在ではNTTドコモやボーダフォンなどのすべてのキャリアに対応している. 2005年入ってからは, インテルと提携して「ホームネットワーク」という新たなプロジェクトに照準を定め始めた. 現在ではネットラジオ「ポッドキャステイング」を利用して, i−podでお笑いタレントのラジオを楽しむことができるサービスも行われている. これからの時代はネット配信をいかにうまく使うかが鍵となりそうだ.

3. ジャニーズ

時代区分

ジャニーズの歴史は4段階に区分することができる. すなわち, 1960年代の発足期, 郷ひろみを中心とする1970年代の飛躍期, 1980年代のアイドル全盛期, そして1990年代以降のSMAPが活躍している黄金期である. ジャニーズ事務所は, この間一貫してテレビを中心にメディア戦略を展開してきた.

ドラマ中心の俳優デビュー

1969年あおい輝彦が「水戸黄門」などで俳優として活躍して以来, ジャニーズ・タレントは続々と俳優デビューを果たした. 1979年には当時最高視聴率を持つドラマ「3年B組金八先生」に“たのきんトリオ”が出演, 1980年には“ひかる一平”が出演した. その後、1981年には「2年B組仙八先生」に“仙八トリオ(のちにシブがき隊)”が出演した. ちなみに, このシブがき隊は今までのジャニーズとは少し違った雰囲気で積極的に「お笑い・バラエティ」の世界にも足を踏み出した.

SMAPとバラエティ

SMAPが本格的なテレビ出演を果たしたのは, 1992年から放送されたバラエティ番組「夢がMORIMORI」である. この番組で徐々に人気が高まり,今では国民的アイドルとなった. コンサートでは2002年に行った「SMAP ’02 Drink! Smap! Tour!」でツアー動員数115万人と歴代第1位の快挙を成し遂げた. またCDでも2003年発売の「世界に一つだけの花」で253万1949枚を売上げ, 歴代シングルセールス第9位を占めるほどである. 現在,SMAPのメンバーはドラマ・バラエティ・CMのどの分野でも必要不可欠な存在となっている.

NHK大河ドラマとジャニーズ

大河ドラマでは, 1972年に郷ひろみが「新・平家物語」に出演したのをきっかけとし, 現在までジャニーズタレントが出演を続けている. また、今年(2005年)の1月, NHK大河ドラマのホームページに主演の滝沢秀明の写真が載っていることが判明した. 今までのジャニーズ事務所は肖像権の管理に厳しく, 公式ホームページには所属タレントの顔写真を載せることは制限されていた. しかしこの滝沢秀明の写真について, ジャニーズ事務所は「これは滝沢秀明ではなく義経として載せている」と解釈している. このように徐々にジャニーズ事務所の肖像権も柔軟になってきている. ジャニーズ事務所は, 不正コピーを防止する法や違法な利用をされたときの対策が整備されてからでないと, インターネットでの写真や映像配信を許可しないとしている. しかし, 今日のインターネット社会に出遅れてジャニーズファンが減少しないのか, 問題もはらんでいる.

(参考) NHK大河ドラマに出演したジャニーズ・タレント

放映年 タイトル タレント名 (グループ名)
1972年 新・平家物語 郷ひろみ
1993年 琉球の風 東山紀之 (少年隊)
1997年 毛利元就 森田剛  (V6)
1999年 元禄繚乱 東山紀之 (少年隊)
滝沢秀明 (当時
今井翼   ジャニーズJr.)
2003年 武蔵 MUSASHI 松岡昌宏 (TOKIO)
2004年 新撰組! 香取慎吾 (SMAP)
2005年 義経 滝沢秀明 (タッキー&翼)

出所: ドラマ資料缶 http://www.furai.co.jp/drama/index.html

(担当: 矢島大輔, 堀中麻希)


VI. 雇用関係・人材育成

1. 概観 −徹底した競争主義の吉本, 独自の人材育成システムをとるジャニーズー

吉本興業 ジャニーズ
・報酬は完全歩合制→仕事が入らなければ収入はゼロになる.
・約700人の所属タレント中,
年収450万円以上は100人前後.(ちなみに直営劇場の幕間に立つ下積み芸人の出演料は一回数百円程度.)
人材育成は1982年に大阪に設立した吉本総合芸能学院(NSC)が中心.(東京校は1995年創設.) お笑いコースだけでも毎年500名以上が入学, 優秀者には舞台・イベントなどへの出演機会が与えられる.→入学者の多くは脱落. 卒業しても大半は月1回本社の会議室で90秒のネタ見せを許される「会議室芸人」にとどまる.
・TVデビューできた
NSC卒業生の例: ダウンタウン, 今田耕治, 雨上がり決死隊, ナインティナイン, 品川庄司, ロバート, 三瓶, 森三中.
・給与はSMAP等少数の例外を除き固定給. ただし, 生活費・交際費等は事務所持ち.
タレント公募, スカウト等はしない.→事務所に履歴・写真が送られてくる自薦・他薦の候補者から選ばれた者を面接, 合格者に無料レッスンへの参加を許可→優秀者をジャニーズJrとして採用. メジャーグループのバックダンサーとして修行を積ませる→CDデビューはグループとしてのイメージをファンに定着させてから.

2. 吉本興業

A. 雇用関係

関連タレント

・所属タレント: 約700名(漫才420名, 新喜劇60名, コント56名, 落語56名, 音楽53名, 俳優36名, スポーツ15名, その他)
<例>お笑い:明石家さんま, 島田紳助, ダウンタウン; 音楽:小室哲也, 桑名正博, デーモン小暮(閣下); スポーツ:石井一久, 高津臣吾, 長谷川滋; 文化人:ジミー大西
・所属タレントの中で契約タレント(マネージャーのつくタレント)は一部.

・(参考) 従業員: 約240名

給与

・設立時いち早く月給制を導入→1990年代より完全歩合制へ移行.
・特徴=マーケットによる報酬決定, 大きな報酬格差.
・年収1億円以上は12〜3人だけで, 450万円以上貰っているのは100番目くらいまで. 数十万円台が170人. それ以外はどうやって暮らしているのか不明.
・歩合制のため, ほとんどの新人は銀行のATM手数料や交通費がギャラより高い.
・会社が斡旋した仕事の場合, ギャラから1割〜8割を吉本側が天引きし, 残額から税金等が源泉徴収される. 
・ギャラ以外でタレントが直接仕事をとって稼いできたお金は全額そのタレントのもとに入る.
・花月の幕間に立つ芸人の出演料は数百円程度.

B. 人材育成=吉本総合芸能学院(NSC)が中心

吉本総合芸能学院(よしもとそうごうげいのうがくいん、通称NSC [New Star Creation])

・吉本興業が1982年(東京校は1995年)に創立した, 主にお笑い芸人を育成する学校.
・お笑い芸人だけではなく, 俳優や歌手, 放送作家なども育成しており, 歌手ではFayrayなどが例に挙げられる. 通学だけでなく通信講座も開講.

・募集方法・人数: 公募主義・500名(お笑いコース)
・費用: 入学金と授業料合わせて40万円(お笑いコース)
・期間: 基本的に養成期間は1年

育成方法

入試選抜の合格者には, 発声や体力作りなど半年間の基本レッスン修了後, 各種新人オーディションや様々なイベント等, 実力を試すチャンスを用意.(<例>NSC祭り, 東西対抗イベント, 子供えびすマンザイ新人コンクール.)
・ 9月以降の能力別クラス編成に伴う「クラス分けオーディション」をはじめ, コンクール出場者やコミュニティーFMのゲスト出演者を決めるための校内オーディションを毎月開催し, 本番に強い芸人を育てる.
・成績優秀者は在学中から吉本興業のタレントとして舞台出演, TV出演等で仕事の現場に立つことも可能.

・ユニット結成などはタレントの自主性に任せる.

吉本興業の強力バックアップ

・有名所属タレントを迎えて行う月1回の「特別授業」.
・学院生が希望する授業を選択できる「選択授業」(2005年度より導入予定)
・9月以降毎月行われる「baseよしもと」での発表会.
・TV番組・イベント等の手伝いやエキストラ出演の機会豊富.
・劇場やイベント・ライブの見学機会豊富.
・東京校との交流会(2005年度より)

卒業後

・一年間の授業後に卒業オーディションを行ってルミネ組や会議室組などに振り分け, その後, 毎月一回のネタ見せにより昇格や降格を行っていく.
・NSC卒業生のみが出演できるイベント(<例>吉本NSC道場)を毎月開催しており, ネタを鍛えてもらう.
・ルミネや心斎橋二丁劇場など若手タレントに勉強の場を造り, 腕を磨かせ世に出るきっかけを与える.

主な出身者

・大阪校 … ダウンタウン, トミーズ, 今田耕司, 雨上がり決死隊, ナインティナイン, 次長課長, 友近
・東京校 … 品川庄司, インパルス, ロバート, 森三中, 三瓶

3. ジャニーズ

A. 雇用関係

関連タレント

・所属タレント: 約200名(メジャー33名+ジャニーズJr)
<例>SMAP, TOKIO, V6, Kinki kids, 嵐 タッキー&翼, NEWS
・(参考) 従業員: 数十名
元所属タレント: あおい輝彦(ジャニーズ), 郷ひろみ, 薬丸裕英・本木雅弘(シブガキ隊), 反町隆史(ジャニーズJr.)など

給与

SMAP等の例外を除き、固定給制. ただし衣食住等生活費は現物支給.
<参考>2004年度分納税額 俳優・タレント部門ランキング(単位=万円)

順位 氏名 所得税額
1 みのもんた 20,101
2 中居正広(SMAP) 18,745
3 石橋貴明(とんねるず) 15,291
4 木梨憲武(とんねるず) 13,505
5 浜田雅功(ダウンタウン) 12,528
6 中村玉緒 10,794
7 松本人志(ダウンタウン) 10,738
8 太田光(爆笑問題) 10,639
9 田中裕二(爆笑問題) 10,176
10 木村拓哉(SMAP) 9,803
出所: 『日本経済新聞』 2005年5月17日号

B. 人材育成

非公募主義

・事務所に履歴書・写真を送付してくる候補者(自薦・他薦を含む. 1ヶ月に1万通)を書類選考.
・応募写真全てジャニー喜多川氏が目を通す. 書類選考通過者を面接のうえ, 無料レッスンへの参加を許可.
・レッスン参加者の中から有望な候補をジャニーズJrとして採用(親権者を交え, 6ヶ月ごとの契約更新).

育成方法

・打ち合わせは小さなJr.でも原則一緒. 何をやりたいか自分たちで考える. 構成作家はいない.
・最初は, メジャーグループのバックダンサーなどを務める.
・ユニットは, ジャニー喜多川氏が決定. グループのコンセプトに添いつつも, 個性の異なるメンバーの組み合わせを工夫.
・ユニット構成のコンセプトとしては, まずジャニーズ顔を選び, この少年らと対極をなすイメージの少年を選ぶ. たとえば, 明るいスポーツマン系(田原俊彦、薬丸裕英、山口達也、堂本光一など)に対して美青年系(近藤真彦、本木雅弘、長瀬智也、堂本剛など)を組み合わせ, リーダータイプ,末っ子タイプ, 思わず応援したくなるタイプ, などを適宜補完していく. 異なる年齢層のタレントを組み合わせ, ファンの多様化もはかる.
・新グループは事務所の先輩のヒット曲を歌い踊る, これが格好のレッスンになる.
・CDデビューは新グループのイメージをしっかりファンに定着させてから.
・アイドル別にファンを管理するジャニーズ・ファミリークラブが存在する, 会員には特典があるが, 新曲発売の際など, リクエストの動員に一翼を担う場合もある,

(担当: 重信徹, 伊藤初)


VII. 「お笑い」・「バラエティー」ブーム

1. 要約

近年の「お笑い」ブームの特徴

・「爆笑オンエアバトル」, 「エンタの神様」, 「M-1グランプリ」等に代表される「ネタ見せ」競演型番組の人気化.
・競争馴れしたNSC卒業生が健闘.

視聴率至上主義の帰結

・バラエティー番組の大半が,多数のゲストが一堂に会する「マルチキャスティング」形式を採用
(=イケメン男優, グラビアアイドルなど出演者を多様化して広範な視聴者の取り込みを狙う).
・多数のゲストをまとめられる司会者への需要が増加→話術が巧みなお笑い芸人が重宝される.

2. 吉本興業と「お笑い」「バラエティー」ブーム

近年のお笑いブームの構造

・ここ数年の芸能業界は新人お笑い芸人のブレイクが相次いでいる. 人気番組となった『はねるのトびら』(フジ系)から出てきたキングコングやドランクドラゴン. CDを出し, 『紅白歌合戦』(NHK)に出場したはなわやテツandトモ. 波田陽区の「残念!!」というフレーズは流行語大賞に選ばれる程で, いまや誰もが認めるお笑いブームだ.
・過去にも『ボキャブラ天国』や『ワンナイR&R』(ともにフジ系)など若手がブレイクしたお笑いブームはあったが, ここ数年続くブームが過去と違うのは, ブレイクする発信源が1つの番組ではないということだ. ネタ見せ番組の『エンタの神様』(日テレ系)や『笑いの金メダル』, 『M-1グランプリ』(ともにテレ朝系), 『お笑い登竜門』(フジ系)からは, 今活躍する若手芸人がぞくぞく輩出されている. 現在のお笑いブームは, このようなバラエティ番組が増えたことによって, ネタを披露できる場が整って, 芸人の粒が揃った結果といえる.
・この波に乗ってテレビ業界はバラエティブームとなっている. 現在放送されているバラエティ番組は, 吉本の新御三家と呼ばれる, 明石家さんま・島田紳助・ダウンタウンが司会を務めるものが多い. 例を挙げると, 『踊る!さんま御殿!!』や『行列のできる法律相談所』, 『ダウンタウンDX』などだ. これらの番組は, 多数のゲストが一同に会する「マルチキャスティング」形式をとっているが, ゲストの顔ぶれを見てみると, イケメン俳優やグラビアアイドル, オカマキャラやいじられ系芸人など様々だ. その中にあって、番組を裏で盛り上げるのがお笑い芸人だ. 司会者と連携を取り, トークを面白くするために割って入る. そんな役割を果たすお笑い芸人はバラエティには欠かせない存在だ.
・吉本興業の芸人育成を目的とした「吉本総合芸術学院」(NSC)は有名だが, 近年, 松竹芸能やホリプロ, ワタナベエンターテインメントなどの芸能事務所が新人を育成する養成所を次々と開校している. どの事務所もこのブームに乗り遅れまいと必死だ.

芸人ブレイク年表

年代 スタートした主な番組 吉本所属芸人  その他の芸人
1996〜97 進め!電波少年 猿岩石
めちゃX2イケてるッ! ナインティナイン  極楽とんぼ よゐこ
タモリの超ボキャブラ天国 爆笑問題  ネプチューン
1998〜01 ココリコ黄金伝説 ココリコ
内村プロデュース さまぁ〜ず
ワンナイR&R 雨上がり決死隊  ガレッジセール
はねるのトびら キングコング ロバート インパルス
2002〜04 M-1グランプリ 中川家  フットボールアワー アンタッチャブル
エンタの神様 友近 レギュラー  青木さやか 波田陽区 はなわ
爆笑問題のバク天! レイザーラモンHG パペットマペット  アンガールズ
笑いの金メダル ヒロシ  カンニング

上の年表は主なものを挙げただけだが, これを見ても, 吉本がいかに多くの芸人を育てブレイクさせているかが分かる.

昔と今, ブームの比較

・最近ブレイクしている芸人の傾向は、いくつかあるネタの中の1つを売りにしているものが多い. 1980年代の『オレたちひょうきん族』に出てきた, 「タケちゃんマン」や「ブラックデビル」はコントの中だけのキャラクターだったが, 言うなれば今はその個性あるキャラがそのままコントの枠を飛び出して活動しているようなものだ.
・そして, 『ボキャ天』ブームと大きく異なるのが, 芸人のルックスだ. ネタ見せ番組が増えたこともあり, ルックス的には女性ウケしなかった「キモイ系」の芸人も, ネタをじっくり見て面白いかを判断してもらえるようになったのだ.
・更に, 1980年代前半までにブレイクした明石家さんまや島田紳助のような, 師匠のもとで修行を積むというやり方に代わり, NSCで育ったノーブランドの芸人, いわゆる無印タレントが, 第1期生であるダウンタウンの成功によってクローズアップされた. 現在の吉本興業所属のタレント約500人のうち, “ノーブランド”は全体の20%にも及ぶ,

M−1と吉本

2001年から始まった, 年末に行われる漫才日本一決定戦「M−1グランプリ」では, 司会や審査委員に島田紳助や西川きよしらを起用しており, これは吉本興業がお笑い芸人を抱える芸能事務所として業界トップに君臨していることを裏付けるものだと言えよう.

3. ジャニーズから見る「お笑い」ブーム

1990年以降のデビューグループ

1991年 SMAP(中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草g剛、香取慎吾)デビュー
デビュー当時はあまり注目されてなかった彼らはバラエティに進出, これまでのアイドルとは違ったポジションを確立した. SMAPの登場でジャニーズ事務所の業界での影響力は高まった.
1994年 TOKIO(城島茂、山口達也、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也)デビュー
ジャニーズ初の本格的なバンドとして結成される. デビューまでには時間がかかった. 最近は歌手活動よりもタレントとしてのバラエティ活動に力を入れている.
1995年 V6(坂本昌行、長野博、井ノ原快彦、森田剛、三宅健、岡田准一)デビュー
バレーボールの応援要員として結成され, デビューを果たす. 年齢差から年長組のトニセンと年少組のカミセンに分かれる.
1997年 KinkiKids(堂本光一、堂本剛)デビュー
デビューまでに5年を要した2人は, ジュニア時代から既に大人気で, 武道館を満席できるだけのスーパーユニットだった.
1999年 嵐(相葉雅紀、松本潤、二宮和也、桜井翔、大野智)デビュー
ハワイでクルーザーを貸切ってデビュー発表を行うというかなり華々しい登場だった. 最近では珍しくバラエティ色の濃くない, 昔ながらのアイドルらしいグループ.

笑いのバブル期での選択

1990年以降のデビューグループはバラエティ色の濃いグループが多い. その先駆けとなったのが今や押しも押されぬ国民的アイドルSMAPである. そもそもSMAPは, 芸能界の雄・ジャニーズ事務所にあって, それほど期待は大きくなかったと言われる. SMAPデビュー時にはゴールデンタイムから歌番組が軒並み姿を消していった時期だった. その一方, 笑いの世界ではビートたけし, タモリ, 明石家さんまのビッグ3に加え, とんねるず, ダウンタウン, ウッチャンナンチャンらもゴールデンで冠番組を持ち, 笑いのバブル期を迎えていた. SMAPのバラエティ進出は, ジャニーズ事務所にとって苦肉の策だったであろうが, これが見事に功を奏し, 『SMAP×SMAP』で大きく結実する. その後TOKIOなどバラエティ色を前面に出したユニットを次々輩出するが, これもSMAPの成功が無ければ有り得なかっただろう.

SMAPの原点

1988年4月に『いつみ・加トちゃんのWA〜っと集まれ』というバラエティのレギュラー番組を持つ. これは現在のSMAPとフジテレビの強力タッグの礎となっている. 1990年には『SMAPの学園キッズ』と早々と冠番組を持っていた. そして, 超人気番組『SMAP×SMAP』の原点とも言えるのが1992年に始まった『夢がMORIMORI』である. 共演の森口博子, 森脇健二の両者が, 彼らの魅力を引き出していた. 特に森口がSMAPの発展に寄与した功績は大きい. 茶化したり, 本音のトークを展開してみたりと大人から子供まで安心して見ることの出来る番組であった. また, 夢がMORIMORIを基本としたコンサートやビデオなども発売し, SMAPが上昇気流に乗る大きなキッカケとなる. 現在のSMAPの形がここに凝縮されているのだ. その後, 1994年に中居正広, 草g剛, 香取慎吾が『笑っていいとも』に出演し, バラエティ能力に磨きをかけた.

SMAP×SMAP

『SMAP×SMAP』はSMAP人気に火をつけた番組である. 歌・コント・トークという3本の柱を中心に女性・男性・子供・大人と偏りがない構成. 特に男性のファン層を広げるには必要と思われるコントの部分はダウンタウン, どんねるず, ウンナンといった芸人達のコントの型を継承し, 過激な部分や特定の層に毛嫌いされる部分を削ぎ落とした感じだ.

SMAPのバランス

中居正広・・・バラエティ番組で基盤を造り上げる. 現在, テレビの司会や特番の司会などを中心に活躍. 特に司会進行という難しいポジションをここまで達成できたジャニーズタレントは過去の歴史を見ても数少ない. 25歳で史上最年少の紅白の白組司会をこなすなど, ジャニーズ史上最高の司会進行キャラクターを確立した.
木村拓哉・・・時代のトレンドリーダーとして, 彼ほど影響力を持つ男性アイドルは現在いない. 活動の中心をドラマとしている. また, コントやトークでも才能を発揮している.
稲垣吾郎・・・舞台を中心とした活動で, 演技力に定評がある. シリアスな演技が本格派の印象を与えるが, コントやトークでのギャップもまた魅力である.
草g剛・・・役者としての評価が2004年に躍進. ドラマを主戦場としている. 派手なメンバーに囲まれながらも, 異色を放つ.
香取慎吾・・・中居と共にテレビ映えのするキャラクターである. 天声慎吾やSMAP×SMAPでも思う存分発揮している“笑い”の感覚はメンバーを和ませると同時に, 見ているものに安心感をあたえる.

このように各メンバーのキャラクターが強く, それぞれの得意分野を分かちながら, 性別・年齢を分け隔てすることなく人気を獲得してきた.

SMAP以降のグループ

SMAPがきっかけとなり, ジャニーズのバラエティ・タレント化が進む. TOKIOは『ザ!鉄腕!DASH!!』, V6は『学校へ行こう』など人気バラエティ番組を持っている. こうした結果はやはりSMAPの成功が第一に挙げられる.

(担当: 櫻井大輔, 酒井弘光)


VIII. 将来への課題

1. 吉本興業

A. 問題点

テレビの飽和化

現在, わが世の春を謳歌するかのような状況にある吉本興業であるが, テレビの力をフル活用した道のりは今や飽和点にたしている. その1番の要素は, 新しいとり取り組みがやりにくくなったテレビの成熟化にある. バラエティー全盛時代の今, 新しい事に挑戦しないがゆえに番組が金太郎あめのオンパレードのようになっている. また、たとえ代わり映えしない番組であっても一定の視聴率が稼げるから, 現状でよしとするムードになっている.

高齢化社会の到来

これまで吉本興業が大躍進した原動力には, テレビと組んで若者市場を開拓したことにあった. しかし2000年の平均年齢は40代前半で, 日本人は正真正銘のおじさん・おばさんである. この先も高齢化は進む. 高齢化社会の主役は決して若者ではない. 元気でお金を持った, しかも生活を楽しむ術を知る高齢者が今後大きな市場になる.

B. 新たな取り組み

地方へ

吉本興業は, バブル期的あるいは土建屋的発想で各地に建てられた公民館やホール, いわゆる「ハコもの」行政で誕生した立派な文化施設を利用して, 地方自治体・公共団体を相手にしたセクションを始めた. 岡山県を例に挙げて説明すると, 岡山は地元商店街が運営する「表町3丁目劇場」をオープンした. そこに吉本興業の芸人が漫才・コント・ミニ新喜劇などを行いに行ったり, さらに同時にイベントやオーディションも行ったりすることで, そこで発掘した若者を方言の喋れるタレントとして育て上げ, お笑いという形で地方に還元しようとしている. 他にも三重県の「志摩スペイン村」や「オリックス・バファローズ」などとの連携例がある.

世界(アジア)へ

吉本興業は今後のライバルとしてディズニーを挙げている. これから更なる発展を目指す吉本興業にとっては, ディズニーのようにテーマパーク・アニメ・映画・スポーツ事業などを運営している企業が目標になってくる. さらにそのノウハウを活かして, 世界に進出しようとも考えている. その先駆けとしてまずアジア進出を行ってきた. 1998年には中国公演, 1999年には香港映画への進出を果たした. まずアジアで成功することが世界を考える上で重要になってきている. ただしアニメ・ドラマなどと異なり「笑い」の国際化とは言語の壁が厚く立ちはだかる. 元吉本興業会長中邨秀雄氏も「海外事業はエンターティンメント企業を目指すうえで欠かせないにしても難しい. 興行として軌道に乗せるには, 出ていくのでなく輸入を考えるべきだ」といっている.

デジタルホーム時代へ

吉本興業は米インテルと配信で提携するこが決まった. これにより家庭向けのネットや携帯電話にブロードバンド配信できるようになり, 「ホームネットワーク」という新たなプロジェクトを始めることになる. 漫才やコントをお笑いコンテンツとして配信することによって, デジタルネット時代に対応しようと考えている. この考え方は劇場経営・ラジオ・テレビと時代に合わせて変遷してきた吉本興業の考え方そのものともいえる.

2. ジャニーズ

問題点@: 未成年のジャニーズ、ジャニーズJrの管理体制

2005年7月のジャニーズJrの飲酒問題で判明したように、ジャニーズ事務所に所属する未成年に関しては, 喫煙・飲酒を事務所側できちんと管理しなければならない. メディアに露出するのであるということは社会的影響も大きい, ということを各人よく理解させなければならない.

問題点A: ジャニーズ、ジャニーズJrグループ間の差別化

ジャニーズJrの新グループのデビュー間隔が短くなったこと, また, 既存のジャニーズのグループが卒業しなくなったことにより, ジャニーズのグループが増え続け, グループ間の差別化が難しくなってきている. 特に一人のアイドルがふたつのグループを抱えていると, 一般の人にはわかりづらくなる. ここまでくると、SMAPのようなジャニーズのメインを輩出するのが難しくなっていくのでないだろうか. また最近のジャニーズはアイドル性というよりバラエティー, お笑いに走る傾向が強い. その分野では台詞が台本通りであったり, テロップ処理によって笑いをとっていたりで, バラエティーで引っ張りダコのSMAPでさえ本業のお笑い芸人に比べると実力不足の感が否めない.

ジャニーズの新たな試み

ジャニーズの新たな試みとして, 「@・ザ・グローブ・プロジェクト」という, 次世代の演劇界を担う才能を発掘し, ジャニーズ側のプロのスタッフがバックアップして作品を作る計画がでている. これは経営に行き詰まった劇場をジャニーズが買収し, 脚本・演出家・キャスト・スタッフ部門のほとんどを大学生から公募するもので, ジャニーズ側からは所属タレントを俳優として出演させるかたちになる. 第一弾として東京グローブ座では, 早稲田大学の学生の公演にジャニーズ側からは俳優の岡本健一(元男闘呼組)が出演する.

(担当者: 高見和也, 久保山瞬)


IX. 参考資料

あおきひろし 『ボクの夢はキミたちが描く夢』 メタモル出版, 1999年.
井ノ原快彦 『アイドル武者修行』 日経BP社, 2005年.
木村政雄 『笑いの経済学』 集英社, 2000年.
木村政雄 『やすし・きよしと過ごした日々』 文芸春秋, 2003年.
天馬飛呂志 『不滅のアイドル帝国』 ブックマン社, 2002年.
中邨秀雄 『笑いに賭けろ!−私の履歴書ー』 日本経済新聞社, 2003年.
日経BP社編 『日経エンタテインメント!』 日経BP社, 各月号.
堀江誠二 『「笑い文化」の仕掛け人 吉本興業の研究』 PHP研究所, 1987年.
読売新聞大阪本社文化部編 『上方お笑い放送史』 読売新聞社, 1999年.
鹿砦社編 『Jマニア』 鹿砦社, 各月号.

M-1グランプリ・ホームページ http://www.m-1gp.com/
All About http://allabout.co.jp/entertainment/idol/closeup/CU20010813/index.htm
芸能界総合研究所 http://plaza.rakuten.co.jp/ewriweb/3019/
吉本シーオージェーピー http://www.yoshimoto.co.jp/
吉本総合芸能学院ホームページ http://www.yoshimoto.co.jp/nsc/owarai/